花粉症は体の免疫バランスの乱れが原因。免疫細胞の約70%が集まる腸内環境を食事で整え、花粉シーズンを少しでも楽に過ごすための方法をお伝えします。
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が体内に侵入したときに、免疫システムが過剰に反応するアレルギー疾患です。そのメカニズムは次のように進行します。
高齢者の花粉症は「年を取ったら治る」と言われることがありますが、実際にはそうとは限りません。近年は60代以上で新たに花粉症を発症するケースも報告されています。また、花粉症の症状は体の免疫バランスに左右されるため、食事で免疫環境を整えることが症状の緩和に役立つと考えられています。
人間の免疫細胞のうち、約70%が腸管に集中しています。腸管は食べ物と一緒に入ってくる細菌やウイルスと最も接触する場所であり、体内最大の免疫器官です。
腸内には約1,000種類、100兆個の腸内細菌が生息しており、これらの細菌群(腸内フローラ)のバランスが免疫の調節に深く関わっています。
つまり、腸内環境を整えることは、花粉症をはじめとするアレルギー症状の緩和に直結するのです。高齢者は加齢とともに善玉菌(特にビフィズス菌)が減少する傾向があるため、意識的に腸内環境を改善する食事が重要です。
腸内フローラのバランスを改善するには、プロバイオティクス(善玉菌そのもの)とプレバイオティクス(善玉菌のエサ)を組み合わせて摂ることが効果的です。これを「シンバイオティクス」と呼びます。
| 食品 | 含まれる善玉菌 | 1日の目安量 |
|---|---|---|
| ヨーグルト | 乳酸菌、ビフィズス菌 | 100〜200g |
| 納豆 | 納豆菌(腸内の善玉菌を増やす) | 1パック(40g) |
| 味噌 | 麹菌、乳酸菌 | 味噌汁1〜2杯分 |
| ぬか漬け | 乳酸菌 | 小皿1皿 |
| 甘酒 | 麹菌 | コップ1杯(100ml) |
食物繊維は善玉菌のエサとなり、腸内で短鎖脂肪酸(酪酸・プロピオン酸・酢酸)に分解されます。短鎖脂肪酸は腸管の免疫細胞を活性化し、Treg細胞の分化を促進することが研究で示されています。
腸内環境の改善に加えて、抗炎症作用のある栄養素を積極的に摂ることで、花粉症の症状緩和が期待できます。
青魚に豊富に含まれるEPA・DHAは、炎症を引き起こすプロスタグランジンやロイコトリエンの産生を抑制し、アレルギー反応を和らげる作用があります。さば、いわし、さんまなどを週3回以上食べることが推奨されます。
緑茶に含まれるカテキン、たまねぎに含まれるケルセチン、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなどのポリフェノールには、ヒスタミンの放出を抑制する作用が報告されています。特に「べにふうき」品種の緑茶に含まれるメチル化カテキンは、花粉症の症状緩和に関する臨床研究が複数行われています。
ビタミンDは免疫調節作用を持ち、アレルギー反応に関わるTh2細胞の過剰な活性化を抑える働きがあります。鮭、きのこ類、卵黄に多く含まれます。冬から春にかけて日照時間が短い時期はビタミンDが不足しやすいため、食事からの摂取を意識しましょう。
味噌、納豆、ヨーグルトなど身近な発酵食品の健康効果と、毎日の食事への取り入れ方を紹介します。
腸内環境と免疫力の関係、免疫を支えるビタミン・ミネラルの摂り方を解説します。
菜の花、たけのこ、新たまねぎなど春の食材がもつ栄養価と、おすすめの食べ方を紹介します。