EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、いずれもオメガ3系(n-3系)多価不飽和脂肪酸に分類される必須脂肪酸です。さんま、さば、いわし、あじなどの青魚の脂に豊富に含まれています。EPAは血小板の凝集を抑制して血液をサラサラにする作用、DHAは脳の神経細胞膜の主要な構成成分として脳機能の維持に重要な役割を果たします。

詳しい解説

EPAとDHAは体内では十分に合成できないため、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸です。これらの発見は1970年代にさかのぼります。デンマークの研究者がグリーンランドのイヌイット民族を調査したところ、脂肪の多い食事にもかかわらず心筋梗塞の発症率が極めて低いことがわかり、その原因がアザラシやクジラの脂に含まれるEPAとDHAであることが突き止められました。

EPAの主な作用は、血管の健康維持です。血小板の凝集を抑制し血栓の形成を防ぐ(抗血栓作用)、血管を拡張させて血流を改善する、中性脂肪の合成を抑制する、炎症性物質の産生を抑える(抗炎症作用)などの多彩な機能を持っています。DHAは脳の灰白質の脂肪酸の約40%を占める主要な構成成分で、神経細胞の膜の流動性を高めて情報伝達を円滑にします。また、網膜のリン脂質にも多く含まれ、視機能の維持にも関与しています。

厚生労働省の食事摂取基準(2020年版)では、EPAとDHAの合計で1g以上/日の摂取が推奨されています。含有量の目安として、さんま1尾(100g)で約2.6g、さば1切れ(80g)で約2.0g、いわし2尾(60g)で約1.6g、あじ1尾(60g)で約0.7gが摂取できます。刺身や焼き魚であれば脂のロスが少なく効率的に摂取でき、缶詰(さば缶、いわし缶)は汁にもEPA・DHAが含まれるため、汁ごと調理に使うと有効です。

高齢者の食事における重要性

高齢者にとってEPA・DHAの摂取が特に重要なのは、心血管疾患の予防と認知機能の維持という2つの観点からです。動脈硬化は加齢とともに進行し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。EPAの抗血栓・抗炎症作用は動脈硬化の進行を抑制し、心血管イベントのリスクを低減することが大規模臨床試験(JELIS試験)で示されています。この日本発の研究では、スタチン(コレステロール低下薬)にEPAを上乗せすることで、心血管イベントが19%減少しました。

認知機能の維持に関しても、DHA摂取と認知症リスクとの関連が多くの疫学研究で報告されています。久山町研究(福岡県)では、魚を多く食べる高齢者はアルツハイマー型認知症の発症リスクが有意に低いことが示されました。DHAは脳の神経細胞の膜を構成し、シナプスでの情報伝達を支えているため、不足すると記憶力や判断力の低下につながる可能性があります。高齢期にこそ魚を積極的に食べることが、心臓と脳の両方を守る食習慣となるのです。また、EPAとDHAには炎症を抑える作用もあり、関節の痛みやこわばりの軽減に寄与する可能性も研究されています。

日常生活での実践ポイント

  • 魚料理を週3回以上食べる:さんま、さば、いわし、あじ、鮭などの魚を週に3回以上主菜に取り入れましょう。旬の魚はEPA・DHAの含有量が増えるため、秋のさんま、冬のぶり、春のいわしなど季節の魚を選ぶと効果的です。
  • 缶詰を常備して手軽に摂取する:さば水煮缶やいわし缶は調理の手間がなく、EPA・DHAが豊富です。缶汁にもオメガ3脂肪酸が溶出しているため、炊き込みごはん、味噌汁、パスタなどの調理に汁ごと使うと無駄なく摂取できます。
  • 刺身や焼き魚で脂の流出を最小限に:フライや天ぷらにすると脂が調理油に流れ出てしまいます。刺身、焼き魚、蒸し魚、煮魚(煮汁ごと食べる)が最もEPA・DHAの損失が少ない調理法です。
  • 酸化を防ぐため新鮮なうちに食べる:EPA・DHAは酸化しやすい脂肪酸です。魚は新鮮なうちに食べ、残った場合は早めに冷凍保存しましょう。抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンC(緑黄色野菜、果物)を一緒に摂ると酸化を防げます。

当店のお弁当での対応

配食のふれ愛では、さんま、さば、いわし、鮭などのEPA・DHAが豊富な青魚を献立に積極的に取り入れています。管理栄養士が焼き魚・煮魚を中心にEPA・DHAの損失を最小限にする調理法を採用し、脳と心臓の健康をお食事からサポートします。魚が苦手な方でも食べやすい味付けを工夫しておりますので、認知症予防や血管の健康が気になる方は、ぜひ当店のお弁当をお試しください。

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関連用語

たんぱく質

筋肉・臓器・血液など体の組織をつくる三大栄養素の一つ。魚はたんぱく質とEPA・DHAを同時に摂れる優秀な食材。

認知症

脳の機能が低下し日常生活に支障をきたす状態。DHA摂取による予防効果が疫学研究で示されている。

カルシウム

骨や歯の主成分となるミネラル。小魚からはカルシウムとEPA・DHAを一緒に摂取できる。

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