無理な制限をせず、血糖コントロールを続けるための食事の知恵
糖尿病の食事療法は、「食べてはいけないものがある」というよりも、「適切な量をバランスよく食べる」ことが基本です。日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」でも、極端な食事制限ではなく、適正なエネルギー量と栄養バランスを重視した食事が推奨されています。
厚生労働省の調査によると、日本の糖尿病が強く疑われる方は約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない方を含めると約2,000万人と推定されています。特に高齢者は加齢に伴うインスリン分泌の低下やインスリン抵抗性の増加により、糖尿病のリスクが高まります。
糖尿病の方の1日のエネルギー摂取量は、以下の計算式で算出します。
1日のエネルギー量 = 目標体重(kg) × エネルギー係数(kcal/kg)
| 身体活動レベル | エネルギー係数 | 目安(目標体重60kgの場合) |
|---|---|---|
| 低い(デスクワーク中心) | 25〜30 kcal/kg | 1,500〜1,800 kcal |
| 普通(立ち仕事が多い) | 30〜35 kcal/kg | 1,800〜2,100 kcal |
| 高い(肉体労働) | 35〜 kcal/kg | 2,100 kcal以上 |
※高齢者は活動量が少ないため、25〜30kcal/kgが一般的な目安です。
同じ食事内容でも、食べ方を変えるだけで食後の血糖値の上がり方が大きく変わります。以下の3つのポイントを意識しましょう。
食事の最初に野菜(食物繊維)を食べ、次にたんぱく質(肉・魚・豆腐)、最後に炭水化物(ご飯・パン・麺)を食べる方法です。大阪府立大学の研究では、この食べ方で食後血糖値のピークが約30%低下したとの報告があります。
早食いは食後血糖値の急上昇を招きます。1口あたり20〜30回噛むことを目標にし、食事時間を20分以上かけましょう。ゆっくり食べることで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎの防止にもつながります。
食事を抜くと次の食事で血糖値が急上昇しやすくなります。1日3食を規則正しい時間に食べることが、血糖値の安定につながります。特に朝食を抜くと、昼食後の血糖値が大きく上昇することが知られています。
GI値とは、食品を食べた後の血糖値の上昇スピードを数値化したものです。ブドウ糖を100とした相対値で表され、GI値が低い食品ほど血糖値の上昇が緩やかです。
| 分類 | 高GI(70以上) | 中GI(56〜69) | 低GI(55以下) |
|---|---|---|---|
| 穀類 | 白米(84)、食パン(91) | 玄米(56)、うどん(62) | 全粒粉パン(50)、そば(46) |
| いも類 | じゃがいも(90) | さつまいも(55) | — |
| 果物 | すいか(72) | バナナ(62) | りんご(36)、みかん(33) |
ただし、GI値だけに注目するのではなく、全体の栄養バランスや食事量を総合的に考えることが大切です。GI値が低い食品でも食べすぎればカロリーオーバーになりますし、GI値が高い食品でも食物繊維と一緒に摂れば血糖値の上昇を緩やかにできます。
糖尿病の食事療法を毎食自分で管理するのは、カロリー計算や栄養バランスの調整など大変な労力を要します。特に高齢者の方やご家族にとって、毎日の献立作りと調理の負担は小さくありません。
配食のふれ愛のカロリー調整食は、管理栄養士が1食あたりのカロリー・栄養バランスを計算し、糖尿病の方の食事管理に対応しています。
主治医の指示するカロリー量に合わせた食事の調整も可能ですので、お気軽にご相談ください。食事療法は「続けること」が最も重要です。配食サービスを上手に活用して、無理のない血糖コントロールを目指しましょう。
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