高齢者の食事と栄養に関する用語解説
カルシウムとは、人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯の主要な構成成分です。体内のカルシウムの99%は骨と歯に蓄えられており、残りの1%が血液・筋肉・神経に存在し、心臓の拍動・筋肉の収縮・神経伝達・血液凝固など生命維持に不可欠な機能を担っています。
骨は一見変化のない固い組織に見えますが、実際には「骨代謝」と呼ばれるプロセスにより、常に古い骨が吸収(破壊)され新しい骨が形成されるという入れ替わりが行われています。成人の場合、骨全体が約3〜5年で入れ替わるとされています。骨の吸収と形成のバランスが保たれているときは骨量が維持されますが、加齢やカルシウム不足によって吸収が形成を上回ると骨量が減少し、骨粗しょう症へと進行します。
カルシウムの体内吸収率は食品の種類によって大きく異なります。牛乳・乳製品は約40%と最も吸収率が高く、小魚は約33%、野菜は約19%です。また、カルシウムの吸収にはビタミンDが不可欠で、ビタミンDが不足するとどれだけカルシウムを摂取しても十分に吸収されません。ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収を2〜4倍に高めるとされています。
日本人のカルシウム摂取量は慢性的に不足しており、令和元年国民健康・栄養調査によると、60歳以上の平均摂取量は約500mg/日で、推奨量の700mg/日を大きく下回っています。特に女性は閉経後にエストロゲンの分泌が急激に低下し、骨からのカルシウム流出が加速するため、骨粗しょう症のリスクが男性の約3倍にのぼります。
高齢者にとってカルシウムの十分な摂取は、骨粗しょう症による骨折の予防に直結します。大腿骨頸部骨折は高齢者の寝たきりの主要原因の一つであり、年間約20万人が発症しています。骨折から寝たきりになると、筋力低下や認知機能の低下も加速し、生活の質が著しく低下します。カルシウムをしっかり摂取し骨密度を維持することは、健康寿命を延ばすための基本的な対策です。
また、血中カルシウム濃度が低下すると、体は骨からカルシウムを溶かし出して補おうとします。この「骨カルシウムの動員」が慢性的に続くと、骨が脆くなるだけでなく、過剰に溶け出したカルシウムが血管壁に沈着して動脈硬化を促進する「カルシウム・パラドックス」が起こることもあります。つまり、カルシウム不足は骨だけでなく心血管系のリスクにもつながるのです。高齢者は胃酸の分泌量が減少し、カルシウムの吸収効率がさらに低下するため、食事からの積極的な摂取がより一層重要になります。
配食のふれ愛のお弁当は、管理栄養士が1食あたりのカルシウム量を考慮して献立を設計しています。小魚や大豆製品、青菜類を積極的に取り入れ、ビタミンDが豊富な魚や卵料理と組み合わせることで吸収効率も意識した栄養設計を行っています。骨の健康が気になる方にも安心してお召し上がりいただけるよう、毎日のお食事でカルシウムの摂取をサポートいたします。
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