高齢者の食事と栄養に関する用語解説
たんぱく質とは、炭水化物・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつで、約20種類のアミノ酸が鎖状に連なった高分子化合物です。筋肉・臓器・血液・皮膚・髪・爪・ホルモン・酵素・免疫抗体など、体のあらゆる組織や機能の材料となります。体重の約16%をたんぱく質が占めており、水分に次いで体内に多く存在する成分です。
たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、体内で合成できない9種類を「必須アミノ酸」と呼びます。これらは食事から摂取する必要があり、すべての必須アミノ酸がバランスよく含まれている度合いを示す指標が「アミノ酸スコア」です。肉・魚・卵・牛乳などの動物性たんぱく質はアミノ酸スコアが100で、必須アミノ酸を過不足なく含んでいます。一方、植物性たんぱく質の代表格である大豆もアミノ酸スコア100であり、動物性食品に匹敵する良質なたんぱく源です。
たんぱく質は体内で常に分解と合成を繰り返しており(たんぱく質代謝回転)、成人では1日に約200〜300gのたんぱく質が分解されます。このうち約70%は再利用されますが、残りは尿素として排泄されるため、毎日の食事から十分な量を補給し続ける必要があります。加齢に伴い、筋たんぱく質の合成能力は徐々に低下し、同じ量のたんぱく質を摂取しても若い世代ほど効率よく筋肉に変換できなくなります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、65歳以上の推奨量を男性60g/日、女性50g/日と設定しています。体重あたりに換算すると1.0〜1.2g/kg/日に相当し、これは若年成人と同等かそれ以上の数値です。日本老年医学会は、フレイル予防のためには体重1kgあたり1.0g以上の摂取を推奨しています。
高齢者にとってたんぱく質は、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量・筋力の低下)の予防に直結する最も重要な栄養素です。65歳以上の約15%がサルコペニアに該当するとされ、たんぱく質の慢性的な不足が主要な原因の一つとなっています。サルコペニアが進行すると、歩行速度の低下、転倒・骨折のリスク増加、さらには寝たきりにつながりかねません。
また、たんぱく質不足はフレイル(虚弱)の悪循環を引き起こします。食欲低下によりたんぱく質の摂取が減ると、筋肉量が減少して基礎代謝が下がり、さらに食欲が落ちるという負のスパイラルに陥ります。免疫機能にも影響を及ぼし、感染症にかかりやすくなったり、傷の治りが遅くなったりすることもあります。70歳以上の高齢者の約3割が推奨量を下回っているという調査結果があり、特に一人暮らしの方や食が細くなった方は注意が必要です。
配食のふれ愛では、管理栄養士が監修した献立で毎食のたんぱく質量を適切に管理しています。普通食で1食あたり約20gのたんぱく質を確保し、肉・魚・卵・大豆をバランスよく組み合わせた飽きのこないメニューを毎日お届けしています。たんぱく質調整食など、腎臓病をお持ちの方のための制限食もご用意しております。噛む力に不安のある方には、一口大やきざみ食、ムース食といった食事形態にも対応し、たんぱく質をしっかり摂取できる食事をお届けします。
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