高齢者の食事と栄養に関する用語解説
食事摂取基準(Dietary Reference Intakes: DRIs)とは、厚生労働省が5年ごとに策定・公表する、日本人が健康の保持・増進を図るうえで摂取することが望ましいエネルギーおよび各栄養素の基準値を示したものです。最新版は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で、2025〜2029年度に使用されます。年齢・性別ごとに、推定平均必要量、推奨量、目安量、耐容上限量、目標量が設定されています。
食事摂取基準には5つの指標が設けられています。「推定平均必要量(EAR)」は集団の50%の人が必要量を満たす摂取量、「推奨量(RDA)」はほとんどの人(97〜98%)が必要量を満たす摂取量、「目安量(AI)」は十分な科学的根拠がない場合に良好な栄養状態を維持するのに十分な量、「耐容上限量(UL)」は健康障害のリスクがないとされる最大量、「目標量(DG)」は生活習慣病の発症予防のために目標とする量です。栄養素によって設定される指標が異なります。
2025年版の主な変更点として、高齢者の区分が「65〜74歳」と「75歳以上」の2区分に細分化されました。これは、75歳以上の後期高齢者はフレイルや低栄養のリスクが特に高いことから、きめ細かい基準設定が必要とされたためです。たんぱく質については、65歳以上の推奨量が男性60g/日、女性50g/日と設定されており、フレイル予防の観点から目標量の下限が総エネルギーの15%以上と引き上げられています。
エネルギーについては、2020年版からBMIを指標とする方法が採用されています。65〜74歳のBMI目標範囲は21.5〜24.9、75歳以上は21.5〜24.9とされ、この範囲を維持できるエネルギー摂取が求められます。高齢者では低体重(BMI 21.5未満)の方が死亡リスクが高いことが示されており、過度な食事制限よりも適正体重の維持が重視されています。
食事摂取基準は、病院や介護施設の給食管理、配食サービスの献立作成、管理栄養士による栄養指導など、高齢者の食事に関わるあらゆる場面で参照される基本的な指標です。配食サービスの品質を評価する際にも、食事摂取基準に沿った栄養設計がなされているかが重要な判断基準となります。
高齢者にとって特に注目すべき栄養素があります。たんぱく質は筋肉維持のために十分量の確保が必要です。カルシウムは骨粗鬆症予防のために男性750mg/日、女性650mg/日が推奨されています。ビタミンDは骨代謝と免疫機能に関わり、8.5μg/日が目安量として設定されています。食塩相当量は男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満が目標量ですが、高血圧の方はさらに6g/日未満が推奨されます。これらの数値を日々の食事で達成するのは容易ではなく、管理栄養士による専門的な献立設計の意義がここにあります。
配食のふれ愛では、厚生労働省の食事摂取基準に基づき、管理栄養士が全メニューの栄養設計を行っています。1食あたりのエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を適切に管理し、高齢者に必要な栄養素を過不足なく摂取できる献立を毎日お届けしています。普通食で1食約500〜600kcal、食塩相当量は3g未満を基準としています。栄養面でのご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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