加齢や疾患により筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下した状態。ギリシャ語のsarx(肉)とpenia(減少)が語源。

詳しい解説

サルコペニア(Sarcopenia)は、1989年にアメリカの老年医学者アーウィン・ローゼンバーグが提唱した概念で、加齢に伴う骨格筋量の減少と筋力の低下を特徴とする症候群です。2016年にはWHO(世界保健機関)の国際疾病分類ICD-10に独立した疾患として登録され、医学的に認知された疾患となりました。

人間の筋肉量は40歳頃から年間約0.5〜1%ずつ減少するとされ、70歳以降はそのペースが加速します。日本の高齢者を対象とした調査では、65歳以上の約15%、80歳以上では約30%がサルコペニアに該当すると報告されています。アジアサルコペニアワーキンググループ(AWGS)の診断基準では、握力(男性28kg未満、女性18kg未満)、歩行速度(1.0m/s未満)、骨格筋量指数(SMI)の3つを組み合わせて診断します。

サルコペニアは原因によって「一次性」と「二次性」に分けられます。一次性は加齢そのものが原因で起こるもの、二次性は活動量の低下(寝たきり・廃用)、疾患(がん・臓器不全・炎症性疾患)、栄養不良(たんぱく質摂取不足・吸収障害)などが原因で起こるものです。高齢者では複数の原因が重なることが多く、とりわけ低栄養との関連が強いことが知られています。

高齢者の食事における重要性

サルコペニアの予防と改善には、適切な栄養摂取が不可欠です。特にたんぱく質は筋肉の材料となる栄養素であり、高齢者では体重1kgあたり1.0〜1.2gの摂取が推奨されています(体重60kgの方なら1日60〜72g)。しかし、高齢者は食が細くなりがちで、この量を毎日確保するのは容易ではありません。1回の食事で吸収できるたんぱく質量には上限があるため、朝・昼・夕の3食に均等に分散して摂ることが筋たんぱく質の合成効率を高めるうえで重要です。

たんぱく質と同時に注目すべきなのがビタミンDです。ビタミンDは筋肉の機能維持に深く関わっており、血中ビタミンD濃度が低い高齢者はサルコペニアのリスクが約2倍になるとする研究があります。また、筋肉を維持するにはたんぱく質を摂るだけでなく、適度な運動(レジスタンス運動)との組み合わせが最も効果的であることが多くの研究で示されています。食事で栄養を摂り、体を動かすことで筋肉が作られるという「栄養と運動の両輪」が、サルコペニア対策の基本です。

日常生活での実践ポイント

  • 毎食20g以上のたんぱく質を確保する:鶏むね肉100gで約23g、鮭1切れで約18g、卵1個と納豆1パックで約14gのたんぱく質が摂れます。朝食が菓子パンだけにならないよう、卵や牛乳をプラスしましょう。
  • ロイシンを多く含む食品を意識する:必須アミノ酸のロイシンは筋たんぱく質の合成を促進します。牛肉、鶏肉、マグロ、牛乳、卵などに多く含まれます。
  • ビタミンDを補給する:鮭、さんま、きくらげ、干ししいたけに多く含まれます。1日15分程度の日光浴も体内でのビタミンD生成に有効です。
  • 椅子からの立ち上がりや散歩を日課にする:スクワットや椅子からの立ち座り10回を1日2〜3セット、散歩は1日20〜30分が目安です。食後のウォーキングも効果的です。

当店のお弁当での対応

配食のふれ愛のお弁当は、サルコペニア予防を意識した高たんぱく設計です。普通食で1食あたり約20gのたんぱく質を確保し、肉・魚・卵・大豆製品をバランスよく使用しています。たんぱく質調整食のメニューもご用意しており、腎臓病などでたんぱく質の制限が必要な方にも対応可能です。噛む力が衰えた方には一口大やきざみ食、ムース食もあり、食べやすさを保ちながら必要な栄養素をしっかり摂取できるよう工夫しています。

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関連用語

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たんぱく質

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低栄養

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