EPA・DHAとは — なぜ高齢者に重要なのか

EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚の脂に豊富に含まれるオメガ3系脂肪酸の一種です。人間の体内ではほとんど合成できないため、食事から摂取する必要がある「必須脂肪酸」に分類されます。

日本人を対象とした大規模研究「JPHC研究」では、魚を多く食べる人ほど心筋梗塞の発症リスクが低いことが明らかになっています。魚を週5回以上食べるグループは、週1回未満のグループと比べて心筋梗塞の発症リスクが約40%低減したと報告されています。

EPA・DHAの主な健康効果

  • 血液サラサラ効果:EPAは血小板の凝集を抑制し、血栓ができるのを防ぎます。動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防に直結します
  • 認知症予防:DHAは脳の神経細胞膜の主要な構成成分です。国立長寿医療研究センターの研究では、血中DHA濃度が高い高齢者は認知症の発症リスクが低いことが示されています
  • 抗炎症作用:EPA・DHAは体内の炎症を抑える物質(レゾルビンやプロテクチン)の原料となり、関節リウマチや動脈硬化の進行を抑制します
  • 中性脂肪の低減:EPAには中性脂肪を下げる作用があり、医薬品(エパデール)としても処方されています

魚の種類別EPA・DHA含有量と摂取の目安

厚生労働省はEPAとDHAを合わせて1日1g(1,000mg)以上の摂取を推奨しています。これは刺身なら約1人前、焼き魚なら約1切れで達成できる量です。

魚の種類別EPA・DHA含有量(100gあたり)

魚の種類EPADHA合計
まいわし1,381mg1,136mg2,517mg
さんま844mg1,398mg2,242mg
ぶり899mg1,785mg2,684mg
さば690mg970mg1,660mg
492mg820mg1,312mg
まぐろ(赤身)27mg115mg142mg
あじ408mg748mg1,156mg

いわし、さんま、ぶりなどの青魚に特に豊富です。まぐろでも赤身よりトロの部分にはDHAが多く含まれています。

週に何回食べるべき?

厚生労働省の目標量を達成するには、週3〜4回、1回80〜100g程度の魚を食べることが目安です。毎日でなくても、週の半分程度の夕食を魚料理にするだけで十分な量のEPA・DHAを確保できます。

缶詰も優秀な供給源です。さばの水煮缶やいわしの缶詰は、骨まで食べられるためたんぱく質やカルシウムも同時に摂れる理想的な食品です。

調理法で変わるEPA・DHAの量

EPA・DHAは脂に含まれるため、調理法によって摂取できる量が大きく変わります。

調理法別の残存率

調理法EPA・DHA残存率ポイント
刺身(生)100%最も効率よく摂取できる
煮魚約80〜90%煮汁ごと食べれば流出分も回収
蒸し魚約85〜90%脂の流出が少なく高齢者に食べやすい
焼き魚約70〜80%脂が落ちるため刺身より減少
揚げ物約50〜60%高温で酸化しやすい

煮魚や蒸し魚が最もおすすめです。煮汁にはEPA・DHAが溶け出しているため、煮汁ごと食べることで効率よく摂取できます。焼き魚の場合でも、大根おろしやレモンを添えて出てきた脂ごと食べると良いでしょう。

缶詰の活用で手軽に

魚の缶詰は加熱加工されていますが、密閉状態で加工されるためEPA・DHAの損失は最小限です。さばの水煮缶(1缶190g)には約3,600mgものEPA・DHAが含まれており、3日分の目標量をカバーできます。汁にも栄養が溶け出しているため、料理に活用するのがおすすめです。

高齢者のための魚料理の工夫

高齢者にとって魚は食べやすい食材ですが、さらに食べやすくする工夫があります。

  • 骨を取り除く:骨取り済みの切り身を選ぶか、圧力鍋で骨まで柔らかく
  • あんかけにする:パサつきやすい白身魚も、あんかけにすれば飲み込みやすい
  • つみれにする:魚のすり身を団子にすると咀嚼力が弱い方も食べやすい
  • 缶詰をアレンジ:さば缶と大根の煮物、いわし缶のトマト煮込みなど

魚が苦手な方は、えごま油やアマニ油からα-リノレン酸を摂取する方法もあります。α-リノレン酸は体内でEPA・DHAに一部変換されますが、変換率は5〜10%程度と低いため、可能であれば魚から直接摂取するのが最も効率的です。

配食のふれ愛の魚料理へのこだわり

配食のふれ愛では、さば・さんま・鮭・あじなどの青魚を週2回以上メニューに取り入れ、EPA・DHAの摂取を自然にサポートしています。煮魚や蒸し物を中心に、栄養素の損失を抑えた調理法で提供。骨取り済みの魚や、やわらかく仕上げたつみれなど、噛む力や飲み込む力に不安のある方にも安心してお召し上がりいただける工夫をしています。

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関連用語

EPA・DHA

魚の脂に含まれるオメガ3系脂肪酸。血液サラサラ効果、認知症予防、抗炎症作用がある。

認知症

脳の機能が低下し、記憶・判断力・言語能力などに障害が出る疾患群の総称。

たんぱく質

筋肉・臓器・血液など体の組織をつくる三大栄養素の一つ。魚は良質なたんぱく源。

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