日本人の死因第2位を占める心疾患。高齢者に特に多い心不全を予防するために、毎日の食事でできることを解説します。
心臓病は日本人の死因の約15%を占め、がんに次いで2番目に多い疾患です。中でも心不全は高齢者に圧倒的に多く、75歳以上の入院原因の第1位を占めています。日本心不全学会は「心不全パンデミック」として、2030年には患者数が130万人を超えると警告しています。
心不全とは、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなった状態です。息切れ、むくみ、疲労感が主な症状で、一度発症すると悪化と改善を繰り返しながら進行します。
心不全の主なリスク要因は、食事で改善できるものが多いのが特徴です。
塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、心臓に大きな負担をかけます。日本人の平均食塩摂取量は1日約10gですが、心臓病予防のためには1日6g未満が推奨されています。心不全の方はさらに厳しく、1日3〜6gの制限が求められることもあります。
減塩のポイントは以下の通りです。
心臓の血管を守るために、脂質の「量」と「質」の両方を意識することが大切です。
1日の脂質エネルギー比率は20〜25%が目安です。肉を食べる際は脂身の少ない部位を選び、調理には植物油(オリーブオイル、なたね油)を使いましょう。
カリウムはナトリウム(塩分)の排出を促し、血圧を下げる効果があります。マグネシウムは心臓の筋肉の正常な収縮を助け、不整脈の予防に役立ちます。
| 栄養素 | 豊富な食材 | 1日の推奨量 |
|---|---|---|
| カリウム | バナナ、ほうれん草、さつまいも、アボカド、トマト | 2,600mg以上 |
| マグネシウム | ナッツ類、大豆、ひじき、玄米、ほうれん草 | 男性370mg/女性290mg |
ただし、腎機能が低下している方はカリウムの過剰摂取に注意が必要です。必ずかかりつけ医に相談しましょう。
地中海食は、オリーブオイル・魚・野菜・果物・全粒穀物・豆類を中心とした食事パターンで、心臓病予防への効果が世界中で注目されています。
スペインで行われた大規模臨床試験「PREDIMED研究」では、地中海食グループの心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)の発症リスクが約30%低下したことが報告されています。
和食は元来、魚・大豆・海藻・野菜が豊富で、地中海食の理念と多くの共通点があります。伝統的な和食に少しオリーブオイルやナッツを加えるだけで、心臓に優しい食事パターンが完成します。
心不全の方は、医師から水分制限を指示されることがあります。心臓のポンプ機能が低下すると、体内に水分がたまりやすくなり、むくみや息苦しさの原因となるためです。
一般的な目安は1日1,000〜1,500mlですが、個人の状態によって異なります。水分制限を受けている方は、以下の点に注意しましょう。
一方で、水分を制限しすぎると脱水のリスクもあるため、自己判断は禁物です。必ず医師の指示に従い、定期的な体重測定と診察を受けることが重要です。
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