噛む力や飲み込む力の低下に合わせて選べる食事形態。それぞれの特徴とメリット・注意点を知り、安全でおいしい食事を実現しましょう。
食事形態とは、食材の硬さや大きさを調整した食事の種類のことです。加齢や病気により噛む力(咀嚼力)や飲み込む力(嚥下機能)が低下した方が、安全においしく食事を楽しむために欠かせない概念です。
適切な食事形態を選ぶことは、単に食べやすさの問題だけではありません。誤った形態の食事は誤嚥(ごえん)を引き起こし、誤嚥性肺炎という命に関わる病気の原因となります。高齢者の肺炎の約7割が誤嚥性肺炎とされており、食事形態の選択は生命に直結する重要な判断です。
食事形態は一般的に、以下の段階に分類されます。上から下に向かって、食べやすさが増していきます。
特別な調整を加えていない通常の食事です。噛む力と飲み込む力に問題がない方が対象です。
食材を2〜3cm角の一口サイズにカットした食事です。大きな食材を噛み切る力が弱くなった方に適しています。
きざみ食は食材を5mm〜1cm程度に細かく刻んだ食事です。噛む力がかなり低下した方に提供されます。
食材をミキサーにかけてペースト状にした食事です。噛む力がほとんどなく、飲み込む力も弱い方に適しています。
食材をペースト状にした後、ゲル化剤で再成形した食事です。介護食の中でも最も進化した形態の一つです。
食事形態の基準として広く使われているのが、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が策定した「嚥下調整食分類2021」です。
| コード | 名称 | 形態の目安 | 対応する食事形態 |
|---|---|---|---|
| 0j | 嚥下訓練食品0j | 均質でゼリー状 | ゼリー食 |
| 0t | 嚥下訓練食品0t | 均質でとろみ状 | とろみ食 |
| 1j | 嚥下調整食1j | 均質でやわらかいゼリー・プリン状 | ムース食 |
| 2-1 | 嚥下調整食2-1 | ピューレ・ペースト・ミキサー食等 | ミキサー食 |
| 2-2 | 嚥下調整食2-2 | やわらかい粒がある | やわらかきざみ食 |
| 3 | 嚥下調整食3 | 形はあるが押しつぶせる | やわらか食 |
| 4 | 嚥下調整食4 | 硬さ・ばらけやすさに配慮 | 一口大・常食 |
この分類は医療・介護の現場で共通言語として使用されており、施設間の情報共有にも役立っています。
食事形態の選択は、以下のポイントを総合的に判断して行います。
食事形態の判断は、本人や家族だけで行わず、主治医や言語聴覚士(ST)、管理栄養士に相談することが大切です。嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)により、客観的に嚥下機能を評価できます。
これらのサインが見られたら、早めに食事形態の見直しを検討しましょう。ただし、必要以上にやわらかい食事に変更すると、咀嚼力がさらに低下する悪循環に陥ることがあります。「安全」と「機能維持」のバランスが重要です。
食事形態の変更は一気に行わず、段階的に進めることが望ましいです。たとえば、常食で食べにくくなってきたら、まずは一口大から始め、それでも困難な場合にきざみ食へ移行するという流れです。
ムース食の特徴と、従来のミキサー食との違いについて詳しく解説します。
嚥下機能の評価方法と、食事形態の選び方のポイントを解説します。
誤嚥性肺炎の原因と、食事中にできる予防策をご紹介します。