食べ物や飲み物を口から胃に送り込む「嚥下」の機能が障害された状態。むせ、食べこぼし、食事時間の延長などの症状がある。

詳しい解説

嚥下(えんげ)とは、食べ物を認識し、口に取り込み、咀嚼して飲み込み、食道から胃へ送り込むまでの一連の過程を指します。この過程は「先行期(食べ物の認識)」「準備期(咀嚼・食塊形成)」「口腔期(舌による送り込み)」「咽頭期(喉を通過)」「食道期(胃への到達)」の5段階に分けられ、それぞれの段階で30以上の筋肉と複数の神経が精密に連携しています。嚥下障害とは、これらのいずれかの段階に問題が生じた状態です。

高齢者における嚥下障害の有病率は、在宅高齢者で約15%、介護施設入所者では約30〜40%と報告されています。加齢そのものによる嚥下機能の低下(老嚥:ろうえん)に加え、脳卒中、パーキンソン病、認知症などの神経疾患、口腔・咽頭の手術後、薬の副作用なども原因となります。

嚥下障害の主な症状には、食事中のむせ(特に水やお茶などサラサラした液体で顕著)、食べこぼし、口の中に食べ物が残る、食事に時間がかかるようになった、声がガラガラする(湿性嗄声)、食後に痰が増える、原因不明の微熱が続くなどがあります。特に注意が必要なのは「むせない誤嚥(不顕性誤嚥)」で、咳反射が低下した高齢者では誤嚥しても自覚症状がないまま誤嚥性肺炎を発症することがあります。

高齢者の食事における重要性

嚥下障害は高齢者の食事に直接的な影響を与えます。食べることが困難になると食事量が減少し、低栄養や脱水のリスクが高まります。また、食事を楽しめないことは精神面にも影響し、うつ傾向や社会的孤立につながることもあります。嚥下障害を放置すると誤嚥性肺炎の危険が高まり、高齢者の死因の上位を占める深刻な事態を招きかねません。

嚥下障害がある方の食事では、「安全に食べられる形態」に調整することが重要です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会が策定した「嚥下調整食分類2021」では、食事の硬さや形態をコード0〜4の5段階に分類しています。個々の嚥下機能に合った食形態を選ぶことで、誤嚥のリスクを軽減しながら必要な栄養を確保できます。食形態の判断は医師や言語聴覚士、管理栄養士と相談して行うことが大切です。

日常生活での実践ポイント

  • 食事の姿勢を整える:椅子に深く腰かけ、足が床につく状態で、やや前かがみの姿勢が基本です。ベッド上で食べる場合は30〜60度のリクライニングで、頭をやや前に傾けた姿勢にしましょう。
  • 一口量を適切にする:一口の量が多すぎると飲み込みにくく、むせの原因になります。ティースプーン1杯程度の少量ずつ、ゆっくりと食べる習慣をつけましょう。
  • 水分にはとろみをつける:サラサラした液体は喉を通過する速度が速く、むせやすい食品です。とろみ調整食品を使って適度なとろみをつけることで、安全に水分補給ができます。
  • 食後30分は上体を起こしておく:食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流して誤嚥するリスクがあります。食後30分は座位を保ちましょう。

当店のお弁当での対応

配食のふれ愛では、嚥下障害のある方にも安全に召し上がっていただけるよう、一口大、きざみ食、ムース食をご用意しています。一口大は食材を一口サイズにカットし、きざみ食はさらに細かく刻んだ形態です。ムース食は食材をミキサーにかけた後に再成形し、見た目のおいしさも保ちながら舌でつぶせるやわらかさに仕上げています。お体の状態に合わせた食形態のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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