高齢者の食事と栄養に関する用語解説
きざみ食とは、食材を包丁やフードプロセッサーで5mm〜1cm程度の大きさに細かく刻んだ食事形態です。噛む力(咀嚼力)が低下した高齢者が食べやすいように考案されましたが、口の中でバラバラになりやすく、まとまりを持たせないと誤嚥(食べ物が気管に入ること)のリスクがあることが近年指摘されています。
きざみ食は、日本の高齢者施設で最も広く普及している食事形態のひとつです。普通食をそのまま刻むだけで提供できるため、調理の手間が比較的少なく、多くの施設や家庭で採用されてきました。刻む大きさは施設や個人の状態によって異なり、「粗きざみ」(1cm角程度)、「きざみ」(5mm〜1cm)、「細きざみ」(5mm以下)、「極きざみ」(みじん切り程度)と段階的に分けられることがあります。
しかし、きざみ食には重要な注意点があります。細かく刻んだ食材は口の中でまとまりにくく、噛んでいるうちに喉の奥にバラバラと流れ込みやすい性質があります。特に水分を含む葉物野菜や繊維質の肉は、咀嚼中にばらけて気管に入る危険があります。日本摂食嚥下リハビリテーション学会は、嚥下調整食分類2021においてきざみ食を明確には位置づけておらず、「きざみ食は嚥下食としては不適切な場合がある」と注意喚起しています。
このため、近年ではきざみ食にあんをかけてまとまりを持たせる「あんかけきざみ食」や、適度な大きさに切りそろえた「一口大」への移行が推奨されるケースが増えています。きざみ食を提供する場合は、とろみのあるあんやソースをかける、マヨネーズやポテトサラダのようなまとまりやすい食材と混ぜるなどの工夫が重要です。
きざみ食は、噛む力は弱いものの飲み込む力は比較的保たれている方にとって、食事を楽しみながら栄養を摂る有効な手段です。歯の欠損や入れ歯の不具合で硬いものが噛めない方、顎関節に問題がある方などは、食材を細かく刻むことで口への取り込みと咀嚼が楽になります。ただし、嚥下機能の低下も伴っている場合は、とろみ食やムース食への移行を検討する必要があります。
また、きざみ食は細かく刻む過程で食材の表面積が大きくなり、細菌が繁殖しやすくなるという衛生上の課題があります。特に夏場や、調理後に長時間経過した場合は食中毒のリスクが高まります。調理後はできるだけ早く提供し、常温で2時間以上放置しないことが鉄則です。施設や配食サービスでは、温度管理を徹底した上で、適切な時間内に配膳・配達することが求められます。
配食のふれ愛では、「きざみ食」「一口大」の食事形態をご用意しています。きざみ食をご注文いただいた場合は、おかず一品一品を適切なサイズに刻み、あんかけや煮汁で食材がまとまるよう工夫して調理しています。ご利用者様の咀嚼・嚥下の状態に合わせて、きざみの大きさや食事形態のご相談も承っております。まずは無料試食で実際のきざみ食をお試しください。
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