高齢者の食事と栄養に関する用語解説
カリウムとは、細胞内液に最も多く存在するミネラルで、ナトリウムと拮抗して体液のバランスを維持し、血圧を正常に保つ働きがあります。また、筋肉の収縮、心臓の規則的な拍動、神経信号の伝達にも不可欠な役割を果たしており、体内のほぼすべての細胞で必要とされる必須ミネラルです。
人体にはカリウムが約120〜200g含まれており、その約98%が細胞の中に存在します。一方、ナトリウムは主に細胞の外(血液や体液)に存在し、この「ナトリウムは外、カリウムは中」という分布を維持する「ナトリウム-カリウムポンプ」が細胞の正常な機能の基盤となっています。カリウムが十分にある状態では、腎臓でのナトリウム再吸収が抑制され、余分なナトリウムが尿として排泄されます。これが「カリウムは天然の降圧剤」と呼ばれる理由です。
WHO(世界保健機関)は高血圧予防のためにカリウムの摂取量を3,510mg/日以上とすることを推奨しています。日本の食事摂取基準(2020年版)では、65歳以上の目標量は男性3,000mg以上/日、女性2,600mg以上/日とされています。カリウムが豊富な食品としては、バナナ(1本約360mg)、ほうれん草(100gあたり約690mg)、さつまいも(100gあたり約470mg)、アボカド(半分約520mg)、干しあんず(100gあたり約1,300mg)、トマトジュース(200mlで約520mg)などがあります。
注意が必要なのは、カリウムは水に溶けやすい性質があるため、茹でると30〜50%が煮汁に流出してしまう点です。蒸す、焼く、電子レンジで加熱する、または煮汁ごと食べるスープや味噌汁にすると、カリウムの損失を最小限に抑えられます。
高齢者の約6割が高血圧を有しているとされ、血圧管理は最も身近な健康課題です。高血圧は脳卒中、心筋梗塞、腎臓病などの重大な疾患のリスク因子であり、カリウムの十分な摂取によるナトリウム排泄の促進は、薬物療法と並ぶ重要な血圧管理手段です。DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)と呼ばれる高血圧予防の食事法でも、カリウム豊富な野菜・果物・低脂肪乳製品の摂取が中心に据えられています。
一方で、腎臓病をお持ちの高齢者はカリウムの排泄機能が低下しているため、カリウムの摂りすぎに注意が必要です。血中カリウム濃度が異常に上昇すると「高カリウム血症」となり、不整脈や心停止のリスクが生じます。腎機能が低下している方は、医師や管理栄養士の指導のもと、野菜を水にさらしたり茹でこぼしたりしてカリウムを減らす調理法が必要になります。また、夏場の脱水や下痢・嘔吐によるカリウム喪失も高齢者では起こりやすく、筋力低下やだるさの原因となることがあります。
配食のふれ愛では、野菜・いも類・果物を毎食の献立にバランスよく取り入れ、カリウムの摂取をサポートしています。高血圧が気になる方には減塩食のご提案も可能です。また、腎臓病をお持ちの方には、カリウム量に配慮した特別な献立もご用意しております。お一人おひとりの体調や疾患に合わせた食事内容をご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
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