血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、全身に十分な酸素が行き渡らなくなる状態。めまい、倦怠感、息切れなどの症状がある。

詳しい解説

貧血とは、血液中のヘモグロビン(赤血球に含まれる酸素運搬たんぱく質)の濃度が基準値を下回った状態を指します。WHO(世界保健機関)の基準では、成人男性でヘモグロビン13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満が貧血と定義されます。高齢者における貧血の有病率は高く、65歳以上の男性の約11%、女性の約10%が該当するとされ、年齢が上がるほどその割合は増加します。85歳以上では約20〜25%に達するとの報告もあります。

貧血にはさまざまな種類がありますが、高齢者で最も多いのは「鉄欠乏性貧血」です。はヘモグロビンの材料であり、食事からの鉄摂取不足、消化管からの慢性的な出血(胃潰瘍、大腸ポリープなど)、鉄の吸収障害が原因となります。次に多いのは「慢性疾患に伴う貧血」で、腎臓病(エリスロポエチン産生低下)、慢性炎症性疾患、がんなどが背景にあります。このほか、ビタミンB12や葉酸の不足による「巨赤芽球性貧血」も高齢者に見られます。

高齢者の貧血は「年齢のせい」と見過ごされがちですが、実は深刻な健康問題につながります。貧血があると全身への酸素供給が不足するため、倦怠感、めまい、息切れ、動悸、頭痛、集中力の低下といった症状が現れます。さらに、貧血は転倒リスクの増加、認知機能の低下、心不全の悪化、入院リスクの増加、さらには死亡リスクの上昇とも関連することが大規模な研究で示されています。

高齢者の食事における重要性

鉄欠乏性貧血の予防と改善には、食事からの鉄の摂取が基本です。食品に含まれる鉄には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は吸収率が約15〜35%と高く、非ヘム鉄は約2〜20%と低いため、効率よく鉄を摂るにはレバー、赤身肉、かつお、まぐろなどヘム鉄を多く含む動物性食品を意識的に取り入れることが重要です。非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。

鉄だけでなく、ビタミンB12と葉酸も赤血球の産生に不可欠な栄養素です。ビタミンB12は肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品に含まれ、菜食傾向が強い方は不足しやすくなります。葉酸はほうれん草やブロッコリー、枝豆などの緑の野菜に多く含まれます。また、たんぱく質はヘモグロビンの構成成分そのものであるため、たんぱく質不足も貧血を引き起こす原因となります。高齢者が食事量の減少とともに貧血を発症するケースは少なくなく、バランスのとれた食事が予防の基盤です。

日常生活での実践ポイント

  • 鉄を多く含む食品を毎日摂る:レバー(50gで鉄約6mg)、牛赤身肉(100gで約2.7mg)、かつお(100gで約1.9mg)、あさり(50gで約3.8mg)、ひじき(乾燥10gで約5.5mg)など。毎食1品は鉄を含むおかずを取り入れましょう。
  • ビタミンCと一緒に摂る:ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を2〜3倍に高めます。食後にかんきつ類やいちごを食べる、ほうれん草のおひたしにレモン汁をかけるなど、鉄とビタミンCの組み合わせを意識しましょう。
  • 鉄の吸収を妨げる食品に注意する:緑茶やコーヒーに含まれるタンニン、穀物や豆類に含まれるフィチン酸は鉄の吸収を阻害します。食事中や食後すぐのお茶やコーヒーは控えめにし、30分以上あけてから飲むようにしましょう。
  • 貧血の症状を見逃さない:「最近疲れやすい」「階段で息切れする」「顔色が悪い」「爪がスプーン状に反り返る」などの症状がある場合は、かかりつけ医に相談し血液検査を受けましょう。特に高齢男性の貧血は消化管出血が隠れていることがあり、精密検査が重要です。

当店のお弁当での対応

配食のふれ愛のお弁当は、貧血予防に配慮した献立設計を行っています。赤身肉、魚(特にかつおやまぐろ)、レバー、大豆製品、ひじきなど鉄を多く含む食材を積極的に使用し、ビタミンCが豊富な野菜や果物と組み合わせることで鉄の吸収率を高めています。ビタミンB12や葉酸も毎食の献立で確保できるよう、肉・魚と緑黄色野菜のバランスにこだわったメニューをお届けしています。食欲が低下して食事量が減っている方には、少量でも栄養価の高いメニューの組み合わせをご提案いたします。

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関連用語

ヘモグロビンの材料となるミネラル。吸収率の高いヘム鉄と低い非ヘム鉄がある。

ビタミンB群

赤血球の産生に不可欠なB12と葉酸を含む。不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こす。

たんぱく質

ヘモグロビンの構成成分であり、たんぱく質不足も貧血の原因となりうる。

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