「野菜は体にいい」と分かっていても、毎日350gを食べ続けるのは簡単ではありません。加熱でかさを減らす、汁物に入れるなど、高齢者でも無理なく続けられる具体的な工夫をご紹介します。
3月に入り、太子町や河南町では日中の気温が15℃前後まで上がる日が増えてきました。金剛山麓から吹き下ろす風はまだ冷たいものの、畑には菜の花やほうれん草の新芽が顔を出し始めています。富田林市の寺内町や羽曳野市の古市古墳群周辺でも、早咲きの桜がちらほらと開花する季節です。
この時期、南河内地域の直売所には春キャベツ・新たまねぎ・菜の花・ふき・たけのこといった旬の野菜が並び始めます。旬の野菜はビタミンやミネラルの含有量がピーク時の野菜と比べて1.5〜2倍高いとされています。しかし、太子町・河南町・羽曳野市・富田林市・大阪狭山市・香芝市にお住まいの高齢者の方の中には、「そもそも野菜を十分に食べられていない」という方が少なくありません。
本コラムでは、厚生労働省が掲げる1日350gの野菜摂取目標の科学的根拠から、高齢者の野菜不足の実態、そして日々の食事で無理なく野菜を増やす具体的な方法まで詳しくお伝えします。
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21(第三次)」では、成人の1日あたりの野菜摂取目標量を350g以上と設定しています。この数値は、循環器疾患やがんの予防効果に関する国内外の疫学研究をもとに算出されたものです。
350gの内訳として推奨されているのは、緑黄色野菜120g以上 + 淡色野菜230g以上です。緑黄色野菜(にんじん、ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ、トマトなど)はベータカロテンやビタミンC、葉酸が豊富で、淡色野菜(キャベツ、白菜、大根、たまねぎなど)は食物繊維やカリウムが多く含まれます。
国立健康・栄養研究所の報告によると、野菜摂取量が350gを超えるグループは、200g未満のグループと比較して、脳卒中リスクが約26%、胃がんリスクが約18%低下するとされています。カリウムによる余分なナトリウムの排出、食物繊維による血糖値の上昇抑制、抗酸化ビタミンによる細胞の保護など、複数の栄養素が相乗的に健康効果を発揮します。
| 料理 | 1食分の目安量 | 野菜の重量 | 含まれる主な野菜 |
|---|---|---|---|
| ほうれん草のおひたし | 小鉢1皿 | 約70g | ほうれん草 |
| 野菜サラダ | 中皿1皿 | 約70g | レタス、きゅうり、トマト |
| 野菜の煮物 | 中鉢1皿 | 約80g | 大根、にんじん、里芋 |
| 味噌汁の具材 | お椀1杯分 | 約50g | 白菜、ねぎ、わかめ |
| 野菜炒め | 中皿1皿 | 約100g | キャベツ、もやし、にんじん |
| きんぴらごぼう | 小鉢1皿 | 約60g | ごぼう、にんじん |
小鉢の副菜1皿で約70g、味噌汁で約50gとすると、毎食で野菜の副菜1〜2品+汁物を食べれば、1日350gは十分に達成可能です。しかし「わかっていてもなかなかできない」というのが多くの方の実感ではないでしょうか。
令和4年の国民健康・栄養調査によると、日本人の野菜摂取量の平均は約280gで、目標の350gを約70g下回っています。
| 年齢層 | 男性(平均) | 女性(平均) | 目標との差 |
|---|---|---|---|
| 20〜29歳 | 約230g | 約220g | −120〜130g |
| 40〜49歳 | 約270g | 約260g | −80〜90g |
| 60〜69歳 | 約310g | 約300g | −40〜50g |
| 70〜79歳 | 約290g | 約280g | −60〜70g |
| 80歳以上 | 約250g | 約240g | −100〜110g |
60代が最も多く約300gですが、70歳を境に減少に転じ、80歳以上では大幅に低下します。あと「小鉢1〜2皿分」が足りないのです。
生野菜は見た目の量が多くても、加熱すると体積が1/3〜1/4に減ります。ほうれん草は生だと両手いっぱいの量が、茹でると小鉢1杯に収まります。煮物、おひたし、蒸し野菜にすることで、少量に見えても多くの野菜を摂取できます。
たとえば当店の3月11日の夕食「豚肉ときのこのクリーム煮」は、1品60gの中にきのこ類と野菜がたっぷり含まれています。同じ日の副菜「ごぼうサラダ」「さつま芋のトマトソース煮」「白菜の錦和え」「竹の子のピリ辛炒め」と合わせると、夕食だけで150g以上の野菜を摂取できる計算です。
味噌汁やスープは、野菜を増やす最も手軽な方法です。大根、にんじん、白菜、小松菜、かぼちゃなど、何でも入れられる万能メニューです。煮汁に溶け出したビタミンB群やカリウムも汁ごと一緒に摂れるメリットがあります。
具だくさんの味噌汁なら1杯で80〜100gの野菜を摂取可能。これだけで1日の目標量の4分の1近くをカバーできます。「味噌汁の塩分が心配です」という方には、だしをしっかりとって味噌の量を控える方法がおすすめです。
ひじきの煮物、切り干し大根、きんぴらごぼうなどは冷蔵で3〜4日保存できます。一度にまとめて作り、小分けにして食べれば、毎食の調理負担を大幅に減らせます。作り置きが難しい方は、市販のカット野菜やお惣菜を活用するのも有効な手段です。
ブロッコリー、ほうれん草、いんげん、ミックスベジタブルなどの冷凍野菜は、旬の時期に収穫・急速冷凍されているため栄養価が高く、洗う・切る手間も不要です。使いたい分だけ取り出せるので、食品ロスも防げます。
農林水産省の調査によると、冷凍野菜のビタミンC残存率は生鮮野菜の80〜90%と報告されており、「冷凍だと栄養がない」というのは誤解です。
3月は菜の花・春キャベツ・新たまねぎ・ふき・たけのこが旬を迎えます。旬の野菜は味が良いだけでなく、栄養価もピークに達しています。当店でも3月の献立にはふきやたけのこを積極的に取り入れています。
たとえば3月10日の朝食「フキのおかか煮」や3月11日の朝食「竹の子のピリ辛炒め」は、まさに今の季節ならではのメニューです。「春の食材で元気に — 旬の栄養を活かす食事」でも詳しく紹介しています。
自分で野菜を買って調理するのが難しい場合は、配食サービスの活用が効果的です。管理栄養士が設計した献立には、1食で複数種類の野菜がバランスよく含まれています。配食で昼食と夕食の野菜を確保し、朝食で果物やサラダを加えれば、350gの達成がぐっと近づきます。
「配食サービスの選び方ガイド」では、サービスの比較ポイントを詳しく解説しています。
野菜ジュースは手軽に野菜の栄養を補える便利なアイテムです。ただし、製造過程で食物繊維の一部やビタミンCが減少するため、あくまで「補助」として考えましょう。1日の野菜摂取量のうち、コップ1杯分(約70g相当)までを野菜ジュースで補い、残りは食事から摂るのが理想的です。
当店の献立は管理栄養士が「1食で5種類以上の野菜」を目標に設計しています。たとえば3月10日の昼食は、肉団子と野菜の甘酢あん・青菜と蒲鉾の和え物・豚肉と筍の炒め煮・南瓜のソテー・カリフラワーの塩昆布和えの5品で、にんじん・玉ねぎ・青菜・筍・南瓜・カリフラワーと6種類以上の野菜を使っています。
350gのうち120g以上を緑黄色野菜で摂ることが推奨されています。緑黄色野菜には、淡色野菜にはない高い抗酸化作用を持つ栄養素が集中しています。
| 緑黄色野菜 | 主な栄養素 | 100gあたりの特徴的成分 | 期待される効果 |
|---|---|---|---|
| にんじん | ベータカロテン | 8,600μg | 粘膜の保護、免疫力向上 |
| ほうれん草 | 鉄、葉酸、ビタミンK | 鉄 2.0mg | 貧血予防、骨の健康 |
| ブロッコリー | ビタミンC、スルフォラファン | ビタミンC 140mg | 抗酸化、がん予防 |
| かぼちゃ | ベータカロテン、ビタミンE | 3,900μg | 老化防止、血行促進 |
| トマト | リコピン | リコピン 3mg | 強力な抗酸化作用 |
| 小松菜 | カルシウム、鉄 | Ca 170mg | 骨の強化、貧血予防 |
| 菜の花(旬) | ビタミンC、葉酸 | ビタミンC 130mg | 免疫力強化、造血 |
緑黄色野菜は油と一緒に調理すると、ベータカロテンの吸収率が大幅に向上します。にんじんは生で食べるとベータカロテンの吸収率が約8%ですが、油で炒めると約70%にまで高まります。当店の3月10日夕食「豚肉と大根のバター醤油風味」や「小松菜の辛子和え」のように、油脂を適度に活用した調理法が効率的です。
野菜を十分に摂らない状態が続くと、さまざまな健康リスクが高まります。特に高齢者では以下の影響が深刻です。
| 不足する栄養素 | 健康への影響 | 関連する疾患・状態 |
|---|---|---|
| 食物繊維 | 腸内環境の悪化、便秘の慢性化 | 便秘、大腸がんリスク |
| カリウム | ナトリウム排出低下、血圧上昇 | 高血圧、脳卒中リスク |
| カルシウム | 骨密度の低下 | 骨粗しょう症、骨折リスク |
| ビタミンC | 免疫力低下、コラーゲン合成低下 | 風邪をひきやすい、傷の治りが遅い |
| 葉酸 | 赤血球の形成不全 | 貧血、認知機能低下 |
| ベータカロテン | 粘膜の防御機能低下 | 目の乾燥、肌荒れ |
これらのリスクは複合的に作用し、フレイル(虚弱)の進行につながります。「フレイルを予防する食事と生活習慣」も合わせてお読みください。
「野菜は身体にいいと分かっているけど、一人分の食事では品数を揃えるのが大変」というお声をよくいただきます。当店のお弁当なら、管理栄養士の設計した副菜が毎食4〜5品入っていますので、ご自身で野菜料理を作る負担なく、必要な野菜を摂っていただけます。まずは無料試食でお気軽にお試しください。
当店では、管理栄養士が毎日の献立で複数種類の野菜を組み合わせています。実際の3月の献立例をご紹介します。
| 食事 | メニュー | 普通食(g) | 含まれる主な野菜 |
|---|---|---|---|
| 朝食 | 鶏と大根の味噌煮 | 50g | 大根、にんじん |
| 甘酢蓮根 | 50g | れんこん | |
| 竹の子のピリ辛炒め | 50g | たけのこ、ピーマン | |
| 昼食 | 煮込みハンバーグ(トマト) | 50g | 玉ねぎ、トマト |
| もやしのナムル | 10g | もやし | |
| ズッキーニとインゲンのソテー | 30g | ズッキーニ、インゲン | |
| チャーシュー野菜炒め | 45g | キャベツ、にんじん、もやし | |
| 青菜のソテー | 15g | 小松菜、ほうれん草 | |
| 甘酢蓮根 | 30g | れんこん | |
| 夕食 | 豚肉ときのこのクリーム煮 | 60g | しめじ、エリンギ、玉ねぎ |
| ごぼうサラダ | 30g | ごぼう、にんじん | |
| さつま芋のトマトソース煮 | 45g | さつま芋、トマト | |
| 白菜の錦和え | 15g | 白菜、にんじん | |
| 竹の子のピリ辛炒め | 30g | たけのこ、ピーマン |
3食合計で10種類以上の野菜が含まれ、加熱調理されているためかさが減り、無理なく食べ切れる量になっています。大根・たけのこ・れんこんといった旬の根菜類も取り入れられ、春の季節感も楽しめる献立です。
当店では普通食のほかに、きざみ食・一口大のメニューもご用意しています。野菜を小さくカットしたり、やわらかく煮込んだりすることで、噛む力に不安がある方でも十分な量の野菜を摂取していただけます。「きざみ食と一口大の違い」のFAQもご参照ください。
1日350gの野菜を毎日食べ続けるのは、たしかに簡単ではありません。しかし、日本人の平均摂取量280gとの差はわずか70g — 小鉢1皿分です。
完璧を目指す必要はありません。まずは「今日の食事にもう1品、野菜の副菜を足す」ことから始めてみてください。小さな積み重ねが、健康な毎日を支える大きな力になります。
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